世界地図を読みながら

地球を動き回ってないと落ち着かない日常

岐阜県出身というジレンマ

私は岐阜県に生まれ、

19歳で東京の大学に進学するまでは概ね岐阜県にある街で過ごしました。

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今年の朝ドラ(半分、青い)の舞台、岐阜県恵那市岩村町

暮らし始めた東京では自分が岐阜県出身である、というアイデンティティが確立するまでにしばらく時間がかかりました。東京では、「岐阜県」という存在が空気のように薄いものであったから、というのと私の生まれ故郷は「岐阜」ではなかったからです。

 

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まず、岐阜県がどこにあるのかご存知でしょうか。

岐阜県は日本の本州、中部地方に位置する県です。

県庁所在地は岐阜市。県の面積は全国で7番目の大きさです。

県境は7県と接している大きな内陸県、教科書的に表現すればこれが岐阜県です。

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岐阜県は東海地方(名古屋圏)の県

まず、とりわけ私の進学した関東地方では誤解されやすいのですが、

岐阜県は経済・文化的に独立した存在ではありません。岐阜県民は岐阜県だけが生活基盤ではありません。例えば、鹿児島県や島根県のような県であれば県庁所在地が一番栄えていて、その都市が県の中心である、という県は全国に多く見られます。

しかし、岐阜県は違います。それは名古屋圏に位置しているからです。

(ちなみに東京在住者が「地方」と呼んでいる首都圏以外の地方は、地方という言葉でイメージされるようにそこまで単純には出来ていません。

日本全国には大都市がたくさんあります。札幌、仙台、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡…各地方の中心の都市は東京の人が思い描いているような「地方都市」ではなく、かなりの機能を持った「大都市」であることは間違いないでしょう。)

岐阜県は名古屋圏(東海地方)にあります。県庁所在地の岐阜市から名古屋駅までは快速列車で20分。また、県内各地からの鉄道はその多くが名古屋に向かっているため、県庁所在地の岐阜市に行くよりも名古屋の方が近いという都市も多くあります。

そのため、岐阜県内から名古屋に通勤・通学する人も多くいますし(私も予備校は名古屋まで通いました)、買い物をするのに名古屋に行くという人も多くいます。

関東圏で考えれば埼玉県や千葉県のような存在でしょうか。

また普段見ているテレビは名古屋のテレビ局(東海テレビ、CBC、め~テレ、中京テレビ、テレビ愛知)が映ります。(岐阜県では岐阜放送、三重県では三重テレビも)

関東地方では東京のチャンネルが映るように岐阜県でも名古屋のテレビ局が映ります。

岐阜県民の読んでいる新聞は「中日新聞」ですし、朝は「モーニング(モーニングの発祥は岐阜市説、一宮市説、名古屋説がある)」を食べて、おでんやカツには「味噌」をかけて食べます。

スーパーはピアゴやアピタで買い物をしますし、フードコートには「スガキヤ」とか「若鯱屋」も当たり前に入ってます。街のコンビニは「サークルK」が殆どでしたし、町中には東海地方(名古屋発祥を含め)のチェーン店で溢れています。

私たちはこのような環境で育っているため、俗に言われる「名古屋的」なものは当たり前のものであり「自分のもの」でした。

 

しかし、東京に来てから驚いたのが、ほとんどの人がそれを理解していないこと。

「名古屋」と「岐阜」は別個の存在だと思っている人が多くて、私は自分の生まれ故郷の説明に苦労しました。

「岐阜」というと響きが悪いのかよほどの田舎に聞こえるらしいのです。実際は名古屋郊外なのでむしろ都下の奥多摩よりずっと都会であるはずなのに!

 

東京に住んでいても埼玉や神奈川県の様子を見ると東京化(関東均一化)が進んでいることは簡単に理解できると思うのですが、どうも話が通じない。

岐阜は岐阜県であっても、三大都市圏の一部なので「地方」ではありません。

これは、関西地区にも言えることだと思います。滋賀県とか、奈良県とか。

 

岐阜県は「美濃」と「飛騨」の合併県

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飛騨地方で人気を誇る白川郷

東京にいるときに、「岐阜県出身」と言うと、大体半分くらいの人がピンと来ず、

半分くらいの人が「白川郷のあるところ!」だとか「飛騨高山!」と返してくれます。

岐阜県出身者としては嬉しいんですが、正直あまり嬉しくない。

それは、岐阜県は「美濃」「飛騨」2つの地方(国)に分かれ、どちらの地方も気候や言葉、文化が違うからです。

岐阜県の人口のほとんどが集まっている南部の美濃地方の中心は岐阜市。

北部の飛騨地方の中心は高山市です。

 

飛騨地方は1876年(明治9年)に筑摩県(現在の長野県の一部)から岐阜県に編入されました。「飛山濃水」という言葉が表しているように、水の国美濃(大垣は水都と呼ばれ、美濃地方は木曽・揖斐・長良の木曽三川が流れる)に対して、飛騨は飛騨山脈に代表される山の国であり、日本海側気候の豪雪地帯でもあります(飛騨地方の信号機は縦)。

また、関西圏や名古屋の影響を受けている美濃地方と比べ、飛騨地方の言葉は、美濃の言葉とは少し違います(君の名は。で話されていたのは飛騨方言)。食事も美濃地方とは少し異なり、信州木曽や北陸各県の影響を受けたものが多くあります(高山のお寿司屋さんは富山湾直送の海鮮が食べれるのでとっても美味しいらしい)。

ともかく、飛騨地方は岐阜県の経済・文化の中心である美濃地方とは遠く離れ、「異国」感強い場所で、美濃地方に住む岐阜県民からしても「観光地」です。

「白川郷」や「飛騨高山」、「下呂温泉」はすべて飛騨地方の観光地。なのでこのあたりの地名を出されても正直、近所でもなく、北陸地方みたいな場所なので、身近な存在では無いんですよね。

ちなみに私の実家から白川郷までは車で片道3時間程度かかるので正直東京調布に行くのとあまり変わません…

 

美濃地方も分裂している

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美濃地方も4つの地域に分かれている

「美濃」地方は、と言えばここも4つに分かれています。

「岐阜」「西濃」「中濃」「東濃」の4地域です。ただ、厳密にいえば「岐阜・西濃・中濃」と「東濃」に分かれているという方が正確かもしれません。

「岐阜・西濃・中濃」は岐阜市や大垣市、関市、美濃加茂市など岐阜市まで1時間以内にたどり着くことのできる地域。

対して「東濃」は旧中山道の沿線であり、現在は中央道やJR中央線で名古屋と直接結ばれている地域。ここは県庁所在地の岐阜市より名古屋市の方が近く、また江戸時代に名古屋の尾張藩領だったため、文化や言葉も名古屋に近い地域です。

 

私は東濃地域の出身で、大きな買い物はすべて名古屋に向かっていましたし、予備校時代は名古屋の予備校に通いました。友人や知り合いにもJR中央線で名古屋に通っている人も多いですし、正直名古屋のベッドタウン感が強いです。

ちなみに朝ドラ「半分、青い。」の舞台は東濃地方。秋風先生に初めて会ったのも、律が通っていたのも名古屋でしたね。ああいうことです。

なので私は岐阜市よりも名古屋の方が心理的にも近く、「岐阜」生まれか、と言われると戸惑ってしまいます。岐阜といえば岐阜市の感覚が強いのと、生活環境的に「岐阜県」の出身かもしれないのですが、名古屋圏民としての感覚が強いのです。

山や川で分けれれた県境というのは大きく人の生活を左右するもの、だったのかもしれません。しかし、鉄道や道路の整備の結果、とりわけ人口の集積する三大都市圏では、県境というのは簡単に越えられるものになっています。

 

東京の人からすると、東京以外の地域はすべて「地方」であって(中央集権対地方政府という考え方では正しい)、田舎なのかもしれませんが、三大都市圏や大きな都市圏も東京圏と同じような環境なんだよ、ってこと、わかってほしいなあ。

 

↓岐阜県恵那地域の観光地について書きました

 

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